◎「つぼみ(蕾)」

動詞「つぼみ(壺見)」。壺(つぼ)を見たようなもの、壺のような印象のもの、の意。形体印象による名。開花前の花。花が現れてはいるが開花する前のその花の状態を言う。この語がそのまま動詞化もしている。

「御前近き若木の梅、心もとなくつぼみて、鴬の初声もいとおほどかなるに…」(『源氏物語』)。

「春暮れてのち夏になり、夏はてて秋の来るにはあらず。………十月は小春の天気、草も青くなり、梅もつぼみぬ」(『徒然草』)。

「白妙の花のつほみを目にかけて磯路の峯(みね)をおりそわつらふ」(『万代和歌集』)。

 

◎「つぼみ(窄み)」(動詞)

「つぼみ(壺み)」。壺(つぼ)の動詞化。その動態が全体を壺のようにおさめた印象であること。蕾(つぼみ)は開花する。その開花した花が窄(つぼ)むこともある。あまり用いられる動詞ではありませんが、「口がつぼみ」「つぼみ傘」といった表現はある。他動としても用いられる。「すぼみ(窄み)」に意味は似ていますが、「すぼみ(窄み)」の方が表現は動的。

「内へ立入みれはすゝ(数珠?)の玉をつらねてかけられたり。夜るひるとさためつほめるを夜るとし」(「御伽草子」『富士の人穴の草子』)。

「Tçubomi(ツボミ),u(ム),ôda(ンダ). ………………Ninjuga(ニンジュガ(人衆が)) tçubomu(ツボム:人が集まる)」(『日葡辞書』)。

 

◎「つぼめ(窄め)」(動詞)

動詞「つぼみ(壺み)」の他動表現。全体を壺のようにおさめた印象にすること。あまり用いられる動詞ではありませんが、「口をつぼめ」「傘をつぼめ」といった表現はある。

「TSUBOME(ツボメ),-ru(ル).-ta(タ),  ツボメル, …… To pucker(縮める、皺を寄せる), draw together(一体へと集める), contract(引き締める、寄せる、縮める).  Kuchi(クチ) wo(ヲ) -. to pucker the mouth(口を収縮させる)」(『和英語林集成』)。