◎「つぶり(頭)」
「とひふむふり(問ひふむ振り)」。これは頭を振ったり、何かを「ふむ」と考えたり納得したりしている様子を表現する。極めて幼い幼児が「つぶりてんてん」(「てんてん」は「転転」)と言いながら頭を振る遊びがあり(大人がそう言いながらやり真似をさせやらせる)、頭を叩いて何かを考えているような仕草をした。この遊びから「つぶり」が頭を意味するようになった。「つむり」とも言う。つまり、なにごとかを問ひ(なにごとかに疑問をいだき)「ふむ」と右に、左に、かしげるように振る身体部位、といった意味になる。
「頭 ツフリ 首 同」(『運歩色葉集』)。
「かの鉢かづきはつぶりこそ人には似ず、……手足のはづれの美しさは…」(「御伽草子」『鉢かづき』)。
◎「つぶり(瞑り)」(動詞)
「つみふり(摘み振り)」。「ふり(振り)」は何かの様子を現すこと(→「見て見ぬふり」)が動詞化している。「つみふり(摘み振り)→つぶり」は、摘む様子を現す、ということであるが、芽(め)と目(め)がかかった表現がなされ、「目をつぶる」という言い方で、芽(目)を摘んだ、目(芽)を摘み取り無くしたような様子を現すこと、すなわち、見なかった(見ない)様子を現すこと、を意味する。「現実に目をつぶる」。これが、瞼(まぶた)を閉ざし眼球に光が入ることを遮断することも意味するようになった。「つむり」とも言う。
・「つぶれ(潰れ)」(動詞)は6月29日に「つぶし(潰し)」とともに触れたので省略。