「ズンブ(準部)」。「準」の音(オン)は「ジュン」ですが、「ジュン」を「ずん」と書くことにかんしては「ずん」の項。意味は、均(なら)されていること。平均化し他との量的質的差異がない。「部(ブ)」は全体の中の小分けした限定域。「ズンブ(準部)→ずぶ」は、その限定域に他との量的質的差異がないこと。つまり、ものやこと(動態)が量的にであれ質的にであれ、部がなくなり、全的に、ということです。事実上同じ意味になる語に「つぶ」(その項)がある。多くは「ずぶと」や「ずぶの」といった言い方をする。
この語は「づぶ」とも書きますが、それが「つぶ」の強意により濁音化しているのか「ずぶ」が「つぶ」の影響でそうなっているのか、判別は不能になる。
「カクテトバカリ西ニ向(ムカヒ)テ念仏スル事シバシアリテ海ニヅブト落入(ヲチイリ)ヌ」(『発心集』)。
「Zzubuto(ヅブト) …Futçuto(フツト). …Totalmente(完全に). …Zzbuto(ヅブト) vomoiqiru(オモイキル).…」(『日葡辞書』:「フツト」は、全的に、の意)。
「『わつちやァずふきらひさ』なんにもいはずにのみ(飲み)さかづき(盃)をどこへやらふかと思つてまごまごしている」(「洒落本」『品川楊枝』)。
「『ふけへ気なもへねへ(燃えねえ)槙木(まき)だぞ。ヅブ生木だそふで烟つて斗(ばか)り居るハ』」(「滑稽本」『八笑人』)。
「ずぶ濡れ」。「ずぶの素人」。