◎「つな(綱)」

「つねな(常汝)」。「な(汝)」は二人称ですが、親愛をこめた愛称の印象が強い。「つね(常)」は、ふと気づくといつもそれがあったりそうであったりすること。恒常的、恒在的なものやこと。なにかを、そうした、常(つね)、たる、汝(な)、の状態にするものが「つねな(常汝)→つな」。どういうことかというと、なにかとなにかを、物的にであれ、社会的にであれ、常にともにいる、常に一体的な、状態にする。そのなにかとなにかが物的に接触している場合もあり、離れている場合もあるが、その関係を一体的な状態にする。それが「つな(綱)」。繊維を絡め製した細く長いものであり、これでなにかとなにかを縛り一体化したり、離れた一方と他方双方にこれを結んだりする。その細く長いもの自体の物的形状特性による名は「なは(縄)」。

「埼玉(さきたま)の津に居る船の風をいたみ(風が激しくなり)綱(つな:都奈)は絶ゆとも言な絶えそね」(万3380)。

「朝日のはなばなとさしあがるほどに、水葱(なぎ)の花いときはやかにかがやきて、御輿(こし)の帷子(かたびら)の色つやなどのきよらささへぞいみじき。御綱(みつな)張りて出でさせ給ふ」(『枕草子』)。

「『…思ほし放つまじき綱(つな)もはべるをなむ、とらへ所に頼みきこえさする』」(『源氏物語』:この「思ほし放つまじき綱(つな)」は、切ることのできない関係・縁(エン)、のような意)。

「頼みの綱」。「命綱(いのちづな)」。

 

◎「つながゐ(神名)」

「つねながゐ(常長井)」。恒常的で永続的な(恒常的に永続的に水の沸く)井。『祝詞』にある神名。