「つとへ(つと経)」。「つ」は思念的に同動を表現する→「つ(助動)」(3月30日)「つれ(連れ)」の項参照(※)。「と」は助詞であり、思念的に客観的に何かを確認する。「つとへ(つと経)→つて」は、(「と」で) 思念的に確認される (「つ」による) 同動の経過(連動)に (「へ(経)」に) あることであることを表現する。
「神代(かみよ)より言ひつて来(く)らく そらみつ大和の国は…」(万894:「言ひ」の連動経過がある。つままり、神代(かみよ)から時空を超えて言われてきたわけです)。
「ほととぎす君につてなむふるさとの花橘は今ぞ盛りと」(『源氏物語』:この「なむ」は、そうしなさいな、の文末の「な」のような、人になにか念をおすようになにかをすすめる「な」と、「…まぁ」のような、感嘆的「む」。古くは「~なも」という言い方もある。つまり、全体は、ほととぎすよ、君に、亡くなった紫の上に、つたえておくれ…花橘は今ぞ盛りと…、ということ)。
「伝てにうけたまはれば、若君は春宮に参りたまひて…」(『源氏物語』:人づてに聞けば、姫君は東宮に入内し、ということ)。
「……なにの伝言(つてこと:都底擧騰) 直(ただ)にし良(え)けむ」(『日本書紀』歌謡128:なぜ人づての言葉などを。直接会うのが一番いい。のような言い方ですが、これは天智天皇崩御の際の童謡(わざうた)であり、歌意にかんしてはいろいろと言われる)。
「…たまほこの 道来る人の 伝言(つてこと)に 吾(われ)に語らく…」(万4214)。
「つてに見し宿の桜をこの春は 霞隔てず折りてかざさむ」(『源氏物語』:「つてに聞く」(人づてに、噂に、聞く)ならわかりますが、「つてに見る」とはどういうことでしょうか。人づてに、噂で、想像の世界で、見ていた、ということか)。
「つてを求めて知り合ひになる」。
「ことづて(言伝)」の「づて」は「つたへ(伝えへ)」でしょう。</p>
※ T音の思念性(想念作用)にかんし:T音になぜそうした思念作用(想念作用)があるのかにかんしては、その発音動態が、脳をも含めた、人の自然な生態としか言いようがない。