◎「つづめ(約め)」(動詞)

「つみつめ(摘み詰め)」。不要な部分を摘み取り全体を詰めること。集約・要約すること。客観的印象によって表現した「ちぢめ(縮め)」に意味は似る。

「無二の懇念を致してもしは一遍ももしは十遍も(念仏を)唱へ給ふものならば弥陀如来六十万億那由多恒河沙の御身をつづめ丈六八尺の御形にて…」(『平家物語』)。

「仏の不思議、神通方便をもて矌劫(くわうごふ)の勤修(ごんしゆ)を、一日七日の行につづめ、六度の難行を一念十念の称名にかうぶらしめて、早く不退に至りやすく、すみやかに菩提を得べき道を教へ給へり」(『発心集』)。

「Tçuzzume(ツヅメ),uru(ムル),eta(メタ). Meliùs, Xijime,uru. Encurtar,ou encolher(短くする、または縮小する). ¶ Xotaiuo tçuzzumuru(ショタイヲ ツヅムル:所帯をつづむる). Diminuir a gente,& os gastos de cosa,& c(人員、家計支出などをへらす)」(『日葡辞書』)。

 

◎「つづまり(約まり)」(動詞)

「つづめ(約め)」の自動表現。約(つづ)めた状態になること。ものごとは集約され、身なら自己を収縮させたような状態になり、「家がつづまり」や「金の入用につづまり」は経済状態が出費に応じることが困難な収縮した状態になっていたりし、「命つづまり」は寿命(生きるであろう歳月)が短くなる。客観的な印象により表現した「ちぢまり(縮まり)」に意味は似る。

「たかき岸の三四十丈ばかりあまりたるうへに、虎つゞまりゐて物をうかゞふ」(『宇治拾遺物語』)。

「然りて、云ふ様、『此の浪の見始つる時は、百丈許有らむ、と見えつるが、近く成ままに、長の促(つづま)りて、五十丈許に成にたり』とて、目を塞ぎつ」(『今昔物語』)。