◎「つしみ(黧み)」(動詞)

「つつしみ」の「つ」一音の無音化。「つつしみ」は「つちゆしみ(土湯浸み)」。土が溶けた湯につかりそれが体に浸(し)みたようであること。どす黒いといわれるような、暗い茶色系の色あいになることですが、死体の状態や傷を受けた肌の状態をおもに言う。語音にかんしては、動詞の「つつしみ(慎み)」が「つしみ」と言われることがある。現実には「つっしみ」のような音が「つしみ」と書かれているのかもしれませんが、そう言われることがある。

「如人死尸膖(ツシミ)脹爛臭」(『地蔵十輪経』元慶七(883)年点:「尸」は「しかばね」。つまり「死尸」は死体)。

「靘𫙙 ……阿乎弥豆志牟(あをみつしむ)」(『新撰字鏡』)。

 

◎「つた(蔦)」

「つつは(つつ葉)」。「つつ」は「つ」の同動表現性(「つ(助動)」の項)により動態の連続を表現する。連続進行する印象の葉。「つた」という個別の植物があるわけではない。これは蔓(つる)性植物の総称。植物の一種の名。

「絡石 ………和名豆太……此草苞石木而生故以名之」(『和名類聚鈔』)。

「常磐木にはひ混じれる蔦の色なども、もの深げに見えて…」(『源氏物語』)。