◎「つげ(告げ)」(動詞)

「つききこえ(着き聞こえ)」。「ききこえ」が「げ」の一音になっているわけです。「つき(付き・着き)」「きこえ(聞こえ)」にかんしてはその項。「つききこえ(着き聞こえ)→つげ」は、到着し(自己に同動し)聞(き)こえ、ということです。「神のお告(つ)げ」ということがありますが、これが「神のつききこえ→神のつげ」(神がつき、同動し、聞こえ)であり、このことが、「つげ」をなした主体が思われ、その主体の自動詞となった。「Aが~をつげ」「Aが~とつげ」と表現されるわけです。つまり、「つげ(告げ)」は、なんらかの主体につき(同動し)なんらかの内容を聞こえさせること。 たとえば、「AがBをCにつげ」と言った場合、それは、A(主体)がB(内容)を、C(相手)につき(ついて・同動し)ききゆおひえ(聞き(効き)ゆ生ひ得 (きき(聞き・効き)により発生する効果を得(え))、ということであり、起こっていることは、「AがBをCに得(え)」、ということであり、Aが、Bを、Cに、聞きによる効果が生じ、得た。

「二上(ふたがみ)のをてもこのもに網さして我が待つ鷹を夢に告げつも」(万4013:これは、逃げた鷹をなんとか捕らえようとしている歌。「をてもこのも(乎弖母許能母)」は、遠方面(をちおも)此(こ)の面(おも)、の変化と言われることが一般である。これは、復(を)ちてもこの身(み)を、であろう。「ち」が無音化している。若返っても今のこの身を、ということであり、若返りにより命がのびることなど捨てて、長生きしようなどとは思わず、ということ。つまり、命を削る努力をして、ということ。万3361、3393、4011にも「をてもこのも」がある)。

「狂(たぶ)れたる 醜(しこ)つ翁(おきな)の 言(こと)だにも 吾(われ)には告(つ)げず(都気受)」(万4011)。

「仏天の告げあるによりて奏しはべるなり」(『源氏物語』)。

「わたのはらやそしまかけてこきいてぬと人にはつけよあまのつり舟(海の原 八十島かけて漕ぎ出でぬと 人には告げよ 海人の釣舟)」(『古今和歌集』)。

「其夜相摸入道の夢に……………と見給ふ。夢の告(つげ)只事ならずと思はれければ…」(『太平記』)。

「『では、差当り御協議したいと思つたことは、是れで終結を告げました…』」(『火の柱』木下尚江)。

「風雲急を告げる」(風雲がなにごとかを告げた、風雲によりなにごとかが聞こえた、わけです)。

 

◎「づけづけ」

「つづけつづけ(続け続け)」。「つづけ(続け)」は「つづき(続き)」の他動表現連用形。意味は連続が連動すること。動態の連動・連続があること。他者への配慮や遠慮がなく、或いは、それが欠け、そうなる。「つけつけ」とも言う。

「取つた盗んだと、詮議だてあほくさい。づけづけ物をぬかしたら…」(「浄瑠璃」『桂川連理柵(かつらがはれんりのしがらみ)』)。「づけづけものを言う」。「づけづけ奥へ入って来る」。

「TSUKE-TSUKE ツケツケ ―iu(イウ).  to speak to another in an angry manner(怒った様子で人に話す)」(『改正増補 和英英和語林集成』)。