◎「~っけ」

「はきけ(~は聞け)」。「は」は提示の助詞であり「きけ(聞け)」は「きき(聞き)」の已然形。~とは聞くが…、ということ。これは「そんなこと言ったっけ…」や「これなんだっけ」などの語尾にある「~っけ」です。この表現が、環境からであれ自己の内心からであれ、ものやことにかんし、それはAだ、という声が聞こえ(内心からそんな思いが湧き)、そう聞きはするがそうなのか確信がわかない、はっはりそうと言えない不安定な状態にあることを表現する。現実的明晰な確信はないが、そうなんだ…、というおぼろな記憶の世界へ入っていくような心情も表現する。「そういえばそんなこともあったっけ…」。

方言ですが、回想を確かなこととして確認し強調する「~っけ」もある。「『…鼬岩(いたちいは)が八寸角をふり上げて、此賊(ぬすつと)めといひながら彦が胻骨(むかふずね)を、ぽきィりと扑折(たたつくじ)くと、足が二本ぶらに為(な)つたつけが、…』」(「滑稽本」『浮世風呂』:この会話の主は自分を「おらァ」と言ったりする(ただし、本人は自分は江戸っ子だと言っている))。これは、足が二本ぶらぶらになったか?なったような気がするんだが…と言っているわけではない。二本ぶらぶらに、二本ぶらぶらになったんだよ、と強く訴えそれを強調している。この「っけ」による「そうだっけ」は、そうなんだよ、そうなんだよ、と訴え強調している。この「っけ」は「~はこれ」であろう。「これ」は個別特定的になにかを指し示す。Rが退行化し「~はこえ」「~はこへ」のような音(オン)を経つつ、「~っけ」になった。「二本ぶらになったっけが」は、二本ぶらになったはこれが、と、「これ」で起こった事態を提示し強調し訴えているわけです。

これら「~っけ」は、一般の辞書では「け」の項目になっている。

 

◎「つげ(黄楊)」

「つきふえ(付き生枝)」。枝(それによる葉)が相互に付き(密着し)生(お)ふ印象であることによる名。樹木性植物の一種の名。材が緻密で美しいので櫛や将棋の駒その他などにする。

「黄楊 ……和名豆介 色黄白材堅者也」(『和名類聚鈔』)。