「つき(付き)」の他動表現。「つき(付き)」にかんしてはその項(4月19日)。意味は、なんらかの思念・想念を生きたそれとして活性化させること。たとえば。AをBにつけ、と言った場合、AをBに思念・想念を活性化させるとは、客観的な二つのものを同動させること・接着させること、も意味する。「手を壁につけ」。また、思念の活性化はなんらかのその思念内容の現実化でもあり、Aを現実に現し、現実作用化させる。「火をつけ」。「色をつけ」。「傷(疵)をつけ」。「勢ひをつけ」。「技術を身につけ」。「名をつけ」。「値をつけ」。「目をつけ」(視覚機関を活性化させその作用を現実化する)。「気をつけてください」。「言(こと)づけを頼む」。「文句をつける」。「彼のあとをつけ」は、痕跡たる「あと(跡)」をどこかに現しという意味にもなりますが、彼の進行の後(のち)を自己に活性化させつつ同動する、という意味にもなる。「日記をつけ」は文字記録を現すことですが、酒の飲み代などを後払いとし台帳にそれが記録されることもあり、それによる請求で代金を支払えば「つけを払う」。動態と一般的に同動することもある。「かかりつけの医者」。「行きつけの店」。それにかんする思念・想念内容の活性化・現実化はそれを最終的に完成させるという意味にもなる。「話(はなし)をつけ」。「決着をつけ」。「始末をつけ」。「けりをつけ」。動態を完成させる、動態の完全性を維持しそれを現実化するという意味にもなる。「叱りつけ」。「なぐりつけ」。「よびつけ」。「しつけ(躾)」は「し(為)」(生活のあり方、というような一般的為(し))を同動させ活性化させる。

「~につけ」、という表現がある。「~」が活性化し「~」と同動するわけですが、「~」がことである場合、ことは時間進行をともない、同時進行性が生まれ、意味は「~につれ」と似る。これは「~」が具体的な動態であれば一層そうです。「それにつけても」の場合は「それ」に事実の具体性はなく、「良きにつけ悪しきにつけ」の場合も形容詞が言われているだけで、「見るにつけ聞くにつけ」も具体性はないが、「ことにつけつつ」や「をりにつけつつ」の場合、具体性がある程度生まれ、「つつ」の連音も働き、同時進行が生じる。「春の花のあした、秋の月の夜ごとに、さぶらふ人々をめして、ことにつけつゝ、歌をたてまつらしめたまふ」(『古今和歌集』仮名序)。「ころは、正月・三月、四月・五月、七 八 九月、十一 二月。すべて、をりにつけつつ、一年(ひととせ)ながらをかし」(『枕草子』)。「「かくなむ」と聞きたまひて、大臣(源氏)も驚きて参りたまへるを、(源氏を)御覧ずるにつけても、(帝は)いとど忍びがたく思し召されて…」(『源氏物語』)の動態(「御覧ずる」)は具体的。