◎「つぐなひ(償ひ)」(動詞)

「つぐのひはひ(償ひ這ひ)」の項。「つぐのひ(償ひ)」(その項)の動態情況になることであり、全体が「ゆひ(結ひ)」になり総化するための義務や負担を負うということであり(「つき(調)」の項)、税(ぜい)負担を負いそれを納めているような努力情況になることなのですが、交換の対価履行は、支払ひ、と言われ、損害補填は、賠償、と言われ、「つぐなひ(償ひ)」は、一般に、社会関係、人間関係における全体が「ゆひ(結ひ)」になり総化するために発生する義務や負担、さらには宗教的意味での「つぐのひ」の情況努力化、が多く「つぐなひ(償ひ)」と言われるようになる(損害賠償や対価履行を「つぐなひ(償ひ)」と表現することも不可能ではない)。

「TSUGUNAI(ツグナイ),―au(ナウ),―atta(ナッタ), ツグナフ, 償, t.v. ……………Tkmodachi(トモダチ) no(ノ) shakkin(シャッキン) wo(ヲ) ―,to pay the debts of a friend(友達の債務を支払う)」(『和英語林集成』:これは借金の返済、債務の弁済を言っている)。

「罪(つみ)をつぐなふ」(生じさせた損害・侵害を修補・補填する物的・心的努力をする)。

 

◎「つくね(捏ね)」(動詞)

「つくねあへ(突く音和へ)→つくね」の動詞化。つくなへ、のような音(オン)を経、「つくね」になった。「つくねあへ(突く音和へ)」は、材料を、ただ突く(それによりつぶす)のではなく、ただ和(あ)へるのでもなく、突き、潰(つぶ)すような作業をしつつ、それにより、全体を混ぜ、一体化させ、全体を同質の塊(かたまり)にすることであり、そうしたなにか。数種の材料を一体化させる食べ物に関しておこなわれる。数種の材料とは、たとえば、山芋、肉(たとえば鶏肉)、魚肉、鶏卵など。「練(ね)り物(もの)」と言われ食べ物の一種たる「つくね」もこれ。そうした食べ物を作ること以外の、一般的動詞たる「つくね」は、全体を一つにまとめるような作業を表現し、「つくね」られるものは雪であったり、泥であったりし、脱いだままの着物がつくねられたりもし、丸めてそこに放置されたりする。人にかんしても「つくねたようにかしこまり」といった表現もある。全体がまとめ固められたようになっている。

「『ヤイ木で造り、土をつくねた人形でも、魂入れば性根がある…』」(「浄瑠璃」『女殺油地獄』)。