◎「つきう(急居)」

「つきう(突き居)」。何かを突(つ)いたように身がくずれすわりこんだような状態になること。「う」は動詞「ゐ(居)」の古い終止形。『日本書紀』崇神天皇十年九月にある語。漢字では「急居」と書かれている。

「爰(ここ)に倭迹迹姬命(やまとととびめのみこと)仰(あふ)ぎ見(み)て而悔(く)いて急居(つきう) 急居此云菟岐于」(『日本書紀』)。

 

◎「つきづきし」(形シク)

→「つき(付き)」の項(4月19日)。それがそれとしてある思念的、想的なそれに合っている、ということなのですが、いかにもそれらしい、や、それにふさわしく、といった意味にもなりますが、いかにももっともらしく、といった意味にもなりうる。

「未(ひつじ)の時ばかりに、このあぜちの大納言(師氏)の領し給ひし、宇治の院に至りたり………とばり、すだれ、網代(あじろ)屛風、黑がいの骨に朽葉のかたびらかけたる几帳どもゝ、いとつきづきしきもあはれとのみ見ゆる」(『蜻蛉日記』)。

「十月に朱雀院の行幸あるべし。舞人など、やむごとなき家の子ども、上達部、殿上人どもなども、その方につきづきしきは、みな選(え)らせたまへれば、親王達、大臣よりはじめて、とりどりの才ども習ひたまふ」(『源氏物語』:その方面にふさわしい人)。

「冬は、つとめて(早朝)。雪の降りたるはいふべきにもあらず。霜のいと白きも、またさらでも、いと寒きに、火など急ぎ熾(おこ)して、炭もて渡るも、いとつきづきし」(『枕草子』)。

「『……』と心憂きに、えのどめたまはず(心おだやかでなく)、(玉鬘を)まかでさせたまふべきさま(退出させるべき事情)、つきづきしきことづけども作り出でて、父大臣など、かしこくたばかりたまひてなむ(うまくいいくるめて)、御暇許されたまひける(退出が許された)」(『源氏物語』:いろいろともっともらしい理由を言った)。

「方便 ツキツキシ」(『類聚名義抄』)。

 

◎「つきしろひ」

→「しろひ」の項(2023年2月14日)。