◎「つかさ(塚)」

「つきかさ(築き嵩)」。「つき(築き)」は「つき(突き・築き・吐き)」の項参照。「かさ(嵩)」は量的規模を表現するそれ。「かさ(嵩)」の項参照。「つきかさ(築き嵩)→つかさ」は、盛り土を築き固めて小高くなった所。

「佐保川の岸のつかさの柴な刈りそねありつつも春し来たらば立ち隠るがね」(万529)。

 

◎「つかさ」

「つきかさ(調嵩)」。「つき(調)」「かさ(嵩)」はその項参照。貢物(みつぎもの)の量的規模、ということなのですが、積まれ山なすそれが貢献や奉仕を意味する。『古事記』歌謡101にある「小高(こだか)るいちのつかさ(伊知能都加佐)」もそれであり、人々はあんなに貢ぎ物を積んでいるのです、と歌うことで大后が大君の反省を促しなだめた。「いちのつかさ」に関しては「いち(市)」の項(下記に一部再記:交換をおこなう場たる、市(いち)のつかさ、ではないということ)。

 

(「いち(市)」の項部分的に再記)

『古事記』歌謡101にある「いちのつかさ」の「いち」は極限へ行きつくことを表現する動詞「いつ」(→「いたり(至り)」の項)の連用形でしょう(一般にそう解されているところの、ものの交換をおこなう「いち(市)」ではないということ)。「つかさ」は「つき(調)かさ(嵩)」→「つき(調)」の嵩(かさ:量)であり、「いちのつかさ」は、限界的に豊富な調(つき)の豊かさ、の意(人々はそんなにも大君(おほきみ)のために尽くしています、ということ)。「やまとのたけちにこだかるいちのつかさ」(『古事記』歌謡101)。

 

◎「つかさどり(司り)」(動詞)

「つかさ(司)」を取る。「つかさ(司)」はその項。自己になにごとかにかんし「つかさ(司)」の思念対象情況を生じさせる(自己がなにごとかにかんし「つかさ(司)」の思念対象情況になる)。なにごとかにかんし「つかさ(司)」の任を負う。

「乃(すなは)ち天兒屋命(あまのこやねのみこと)をして、其(そ)の解除(はらへ)の太諄辭(ふとのりと)を掌(つかさど)りて宣(の)らしむ」(『日本書紀』)。