◎「つか(束)」

「つきは(付き端)」。「は(端)」は限定域を表現し、「つきは(付き端)→つか」は、付(つ)いたその部分、の意。つけるのは手のひらであり、それがついた域・幅が長さの単位になる。その長さは親指以外の手の指四本を並べた幅の長さ。この「つか(束)」は古い時代の長さの単位です。「つかのま(束の間)」はほんの短い間。

「是(ここ)に伊邪那岐命(いざなきのみこと)、御佩(はか)せる十拳劒(とつかつるぎ)を拔(ぬ)きて…」(『古事記』)。

「大名児(おほなこ)を彼方(をちかた)野辺に刈る草(かや)の束(つか)の間(あひだ)も我れ忘れめや」(万110)。

「夏野行く牡鹿の角(つの)の束(つか)の間(ま)も妹が心を忘れて思へや」(万502:夏野行く牡鹿の角(つの)は非常に短い)。

 

◎「つか(柄)」

「ていきは(手生き端)」。「てい」はE音とI音の連音がU音になっている。「は(端)」は、部分、ですが、ここでは、部品、のような意。「ていきは(手生き端)→つか」、すなわち、手が生きる部品、とはどういうことかというと、手によって効率よく作動させる装置や道具にその部品を装着することにより手が生きる。手が極めて効率よく有効に働くことができるようになる。すなわち、装置や道具の、手が生きる部品です。その装置・道具とは、ほとんどは、刃物であり、刃物にそれをつけることにより手が生きる。それをつけることにより、手により極めて有効に効率よくその装置・道具を使うことができるようになる。具体的には、刃物に装着された、それを手で握って操作する部分たる部品です。刀身の端を皮などで厚く巻いてもそれは可能でしょうし、刀(かたな)では、通常、木製のそれが作られ装着される。刃物自体に形体化された、人がそれを手に握る部分は古くは「たかみ(剣柄)」と言った(その項)。

「𣠽 ……和名太知乃豆加 剱柄也 考工記云 剱莖人所握鐔以上也」(『和名類聚鈔』)。

 

◎「つか(塚)」

「つきか(突き処)」。「か(処)」は特定的な場所を意味する→「か(処)」の項(「すみか(棲み処)」など)。「つきか(突き処)→つか」は、土を盛り、突き固めた処(ところ)。基本的には土を盛り上げた部分を意味しますが、遺体の埋葬により同じような状態になったところ、すなわち墳墓、も意味する。

「此ノ塚ノ上彼ノ𦊆(をか)ニ打上リテ馬人共ニ辟易セリ」(『太平記』)。

「培 ……マス…ツカ」(『類聚名義抄』:「マス」は量を増大させる、ということ)。「一里塚」。

「…たまほこの 道の辺(べ)近く 磐(いは)構へ 造れる冢(つか)を…」(万1801:この「つか(冢)」は墓)。

「墳墓 ………和名豆加 塚塋地也」(『和名類聚鈔』)。