◎「ちばの」
「ちもやの(千も屋の)」。千も(非常に多くの)家がある、の意。これは『古事記』の歌にある表現であり、地名「かづの(葛野)」の枕詞と言われるが、これは枕詞ではない。
「ちばの(知婆能)葛野(かづの)を見れば 百千(ももち)足(た)る家庭(やには)見ゆ 国の秀(ほ)も見ゆ」(『古事記』歌謡42)。
◎「ちはひ」(動詞)
「うちいはひ(打ち祝ひ)」。「う」の脱落。「うち(打ち)」は現実化すること。現すこと(その項)。「いはひ(祝ひ)」はその項参照。ここでは将来を約束するというような意味。この語は、神威、あるいは霊的権威たる威力ある何か、が現れ共にあるような状態になることを表現する。
「…男神(をがみ)も 許したまひ 女神(めがみ)も ちはひ(千羽日)たまひて 時となく 雲ゐ雨ふる 筑波嶺(つくはね)を さやに照らして… 」(万1753)。
「影護 知波不」(『新撰字鏡』)。