◎「ち(釣鉤)」

「うちいひ(打ち飯)」。「ち」の音(オン)だけが残った。「うち(打ち)」は現実化すること。現すこと。「うちいひ(打ち飯)」は、現れている飯(食べ物)。それを行うもの。すなわち、(魚に)飯(いひ・めし。食べ物・餌)が現実化している(現れている。魚の前に仕掛けられる)もの、の意。釣り針を言う。

「兄(あに)悔(く)いて、乃(すなは)ち弟(おとと)の弓箭(ゆみや)を還(かへ)して、己(おの)が釣鉤(ち)を乞(こ)ふ」(『日本書紀』:「釣鉤」は「ちい」という古い訓みもある)。

 

◎「ち(風)」

「ち(路)」。方向を表現する「ち(路)」である→「ち(路)」の項。方向感を表現することにより(大気の)方向感のある流動を表現した。別名「かぜ(風)」。

「はやち(早風)」。