◎「だんぶくろ」
「ダにぶくろ(駄似袋)」。「駄(ダ)」は荷運搬用の馬や馬に運ばせている荷を言う。その駄(ダ)に似(に)た袋(ふくろ)、とは、自分が駄(ダ)に、荷を運ぶ馬に、なったような袋。つまり、荷物を入れて運ぶ袋。のち、江戸時代、京阪方面で、外出の際、紙や煙草、ときには食べ物、など必要なものを入れて携帯した袋を「だんぶくろ」と言ったりもした。
「先(まづ)おきゝやれ。てゝ親(父親)をしんぷ(親父)と成共(なりとも)昆布と成共(なりとも)、又母親をおふくろと成り共(とも)だん袋と成(なり)ともおしやれ(おっしゃれ)」(「狂言」『しやてい(舎弟)』)。
「今世京坂小民ノ婦女等野外ナドニ遊フ時 ダンブクロト云ヲ携フ者アリ。番袋ノ訛ナルベシ……………食類及ビ紙タバコ手巾数珠等ヲ納ム。衣類ヲ納ル事ハ稀也。京坂小民ハ男モ往々持テ、江戸ハ男子ハ勿論、婦女も如此袋ヲ携フ者甚(はなは)ダ稀也」(『守貞漫稿』後集(1800年代後半))。
◎「たんぼ(田圃)」
「タンボ(段歩)」。「タン(段)」も「ボ(歩)」も土地(田)の広さの単位。「ブ(歩)」ではなく「ボ」といった。広さをそのように言われた地。稲作(いなさく)用の地であるが、稲生産用土地施設の名ではなく、特別地域たるその地域の名。「段(タン)」にしても「歩(ホ(漢音)・ブ(呉音))」にしても田の広さを表す単位以外にも用いられるわけですが、生活において田がもっとも一般的であり身近で重要だったということ。
「凡田 長卅歩 廣十二歩爲段 十段爲町」(『令集解 巻第十二』「田 田長条」)。
「凡方六尺を以爲一歩 三拾歩を以爲一段…」(『地方(ヂカタ)落穂集』(1763年))。
「畈畒道 タンボミチ」(『書言字考節用集』)。