◎「たら(鱈)」

その体表模様の印象から「まだら(斑)」と言われ、その語が魚名「たら」による「真(ま)だら」と思われ生じた語。魚名。「鱈」は和製漢字(魚肉が白いから)。

「赤鯛(タイ)、腹赤(ハラカ)、多樂、名吉、雨ノ魚、剣(タチノ)魚、鯵(アヂ)…」(『尺素往来』:「多樂」は、タラ、でしょう。「名吉(なよし)」はボラか。「雨(あめ)ノ魚(うを)」はビワマスか)。

 

◎「たら(助詞)(1)」

「~たるは」。「は」は提示の助詞であり、これで条件を表現し、ものごとが「~たる」条件下であること、「~たり」は「~とあり」であり、「と」で思念化される条件下であること(仮定条件)が表現される(→「ずは」の項)。

「上手に出来たらご褒美あげる」。「もういい加減白状したら?」。

 

◎「たら(助詞)(2)」

「~とあるや」。「や」は情動や感嘆(ときには疑惑)を表現する発声。単なる呼びかけ的発声であることもある。「~とある」ことに対する情動や感嘆の発声がなされたり、~に呼びかけがなされたりする。

「臭いったらない」(「ほかに無い」の「ほかに」が省略されている)。「ねぇ、パパったら」(パパとあるや。あなたはパパではないか、という訴え)。

「とやら」の「たら」もある。「約束ぢゃたら申し」。「鈴ヶ森たらいうところへ来て」。