◎「たばね(束ね)」(動詞)
「ためはにえ(溜め端に得)」。「ため(溜め)」は、必要性のその程度たる部分域を形成すること(→「ため(溜め)」の項)。「ためはにえ(溜め端に得)→たばね」は、なにかにかんし、その必要性のその程度たる部分域を形成する端(は:全体の中の一部)の状態を帰属させること、それを得ること。その必要性の程度に応じ全体の一部をまとめた状態にする。線状のものがそうされることが多いが、それは、それを縦状に並べ横方向に全体を縛り一体化することが事実上多いから。「藁(わら)を束ね」、「薪(まき)を束ね」。
「秉 ……タハヌ」(『類聚名義抄』)。
「マア、おまはんの首(つむ)りがひどくうつとしそふだねへ、そつと束(たば)ねてあげよふかへ。そふしたら心持(こころもち)がちつたァさつぱりなさるだらふ」(「人情本」『春色梅児誉美』)。
◎「たばひ(庇ひ)」(動詞)
「てあばひ(手庇ひ)」。「あばひ(庇ひ)」は何かを環境から遮断しその影響からその何かを保護する努力をすること→その項(2019年6月15日)。「てあばひ(手庇ひ)→たばひ」は手でそれをおこなうということなのですが、ようするに、「あばひ(庇ひ)」がより具体的な動態として表現された。意味は、なにかを守る、保存する、といったこと。意味は「かばひ(庇ひ)」(2021年5月16日)に似ている。
「世をわたるおもひ、命をたばふこゝろざし、かれもこれも(漁夫も魚も)ともにおなじ」(『海道記』)。
「惜 …ヲシム………タハフ」(『類聚名義抄』)。