◎「たたくり」(動詞)

「たたきくるり(叩きくるり)」の動詞化。この「たたき(叩き)」は汚れたものの塵(ちり)や埃(ほこり)をはらうような動態→「たたき(叩き)」の項(10月27日)。「くるり」は「くるくる」という回転を表現する擬態の動詞化ですが、ここではなにかをクルクルと丸めまとめること。「たたきくるり(叩きくるり)→たたくり」は、なにかに、叩いて埃を払うような動作をしこれを丸めてそこいらに放(はふ)るようなことをすること。尊重感なく片づけること。つまり、なにかを尊重感なく粗雑・乱暴にあつかう。そうあつかわれたものは秩序や形態は破壊された無秩序なものになる。この語は「こきたたくり(撲きたたくり)」(この語は、(稲を)扱(こ)き、ではないでしょう)、「ふみたたくり(踏みたたくり)」、「きりたたくり(切りたたくり)」といった言い方をし、それぞれの動態がなにかを粗雑・乱暴にあつかうあり方であることが表現される。

「床をうちたたき、人をこきたたくりて、無理な事を云て、四隣を腹立するぞ」(『山谷詩抄』)。

 

◎「たたくれ」(動詞)

「たたくり」(その項)の自動表現。「たたくり」を受けた状態になること。形体や構成が壊れた、整えられていない、無秩序な乱れた状態になっていたりする。

「しらきくの(白菊の)かれたたくれは(枯れたたくれば)かり捨て(刈り捨てて)」(「俳諧」『犬子集』)。

「小袖の衣裏(ゑり)、裾(すそ)の乱(みだ)れをつくろひ、うね足袋(たび)の筒(つつ)のたたくれをなほし…」(「仮名草子」『東海道名所記』)。