◎「たこ(蛸)」

「たくを(抱く尾)」。「たく(抱く)」は「だき(抱き)」に発展する語「たき(抱き)」の連体形→「たき・だき(抱き)」の項(9月27日)。「を(尾)」は紐状・帯状の長いものを意味する。抱きつくように絡みつく長いもの、の意。これは海洋性軟体動物の一種の名ですが、「あし(足)」や「うで(腕)」と呼ばれる、多くの吸盤のある、ほとんどは八本の、器官により抱きつくように絡みつく生態が印象的であることによる名。

「海蛸子 …………和名太古………貌以人裸而圓頭者也」(『和名類聚鈔』)。

 

◎「たこ(凧)」

「たこのぼり(凧のぼり)」の下略。「のぼり」は「昇り・上り」。天へのぼってゆくものだから。「たこのぼり(凧のぼり)」は「たかよのぼり(高世のぼり)」。高い世界へいくもの、の意。竹、木などで組んだ平面状のものに紙など張り、糸をつけ、風による揚力により空へ向かい高くあげていくもの。「いかのぼり(烏賊のぼり)」とも言う。これは原形が海洋生物の烏賊(いか)を思わせたから(上辺が山形になり、バランスをとるための足がついていたのでしょう)。

「蛸 タコ 京にはいかのぼりといへど、田舎の人はたこのほりと云とかや」(『類船集』(俳諧))。

 

◎「たこ(凧)」

「たへコウ(耐へ功)」。何かに耐えたことの結果たる(名誉になる)手柄・功績、の意。皮膚の局所的なある部分に同じ刺激が加わり続けると皮膚のその部分の角質が厚くなる変化が起こる。これを「たこ」と言うが、それは、労働その他、人の忍耐と努力の結果、ということ。

「尰 タコ 腫肉」(『運歩色葉集』)。