◎「たがり」

「たくはやり(たく逸り)」。「~たき」は、何かの動態を希求・願望している状態にあることを表現する(→「言ひたい」「食べたい」(→「たし」の項)。ここではその連用形)。「~たくはやり→~たがり」は、希求・願望で思いが逸(はや)っていることが表現される。

「まづ、假令(けんりやう)、年寄りの心には、何事をも若くしたがるものなり」(『風姿花伝』:「假令(けんりやう)」は、おほよそ、や、たいがい(大概)、といったことか)。

「すぐそう言いたがる」。

 

◎「たき(滝)」

「たききき(発生き聞き)」。「たき(発生き)」に関しては「たき・たけ」の項。「たき(発生き)」が聞こえるもの、の意。水流が恒常的に落下状態になっている土地、水流形状部分を言う。基本意は水の落下により音響を発する域部分。古くは水が落下している水流部分は「たるみ(垂る水)」と言った。

「石走る瀧(たき:多伎)もとどろに鳴く蝉の声をし聞けば都し思ほゆ」(万3617)。

「瀧 タキ」「飛湍 タキ」 (『類聚名義抄』)。