◎「たから(宝)」
「たかあらは(高顕)」。H音は退行化した。高いということ。とても手がとどかぬほどそれは高いということ。そして、それは「あらは(顕)」になっている。現実にあるとは思えないようなものがそこに、現実として、あると。そうした一種の感嘆表明。その表現が、そうした表明を起こすもの・ことを表現した。すなわちそれは、ときには、遥か彼方といっていいほど高くにあり、そして、それが現実とは思えない感銘を起こしつつそこにある。それが「たかあらは(高顕)→たから」。
「寶 ……タカラ タフトフ」「化 ………タカラ…」(『類聚名義抄』:「化」を「たから」と読むのは、花、や、貨、に音(オン)が通じているということか)。
「銀(しろがね)も金(くがね)も玉も何(なに)せむにまされる宝(たから:多可良)子(こ)にしかめやも」(万803)。
◎「たかり(集り)」(動詞)
「たかれ(集れ)」の四段活用動詞化。「たかれ(集れ)」は「たき・たけ」の項。
「蠅がたかり」。
◎「たかれ(集れ)」(動詞)
→「たき・たけ」の項。「蛆(うじ)たかれ」。
「一火(ひとつび)燭(とも)して入(い)り見(みたまひ)し時(とき)、宇士(うじ:蛆)多加禮許呂呂岐弖(たかれこころきて) 此十字以音」(『古事記』)。