◎「たかみ(剣柄)」

「てはかあみ(手努果余み)」。「あみ(余み)」は飽和的な状態にすることを意味する→「あまし(余し)」の項。「はか(努果)」は努力成果・効果ですが、「てはかあみ(手余み)→たかみ」とは、手の効果のための余り、であり、刃物の、刃物たる効果のための刃物になっていないその他の部分、です。ここを人が手で掴み、握り、刃物の刃物たる効果を生じさせる。つまり、刃物の「にぎり(握り)」の部分であり、「え(柄)」と言われる部分です。刀剣では「つか(柄)」とも言う。「たかび」「たかひ」もあったようですが、「たかび」は「てはかぶり(手努果振り)」。「ふり(振り)」の連濁とR音の退化と連音変化による「ぶり」の「び」化。「ふり(振り)」は、役をふる、などのそれであり、「てはかぶり(手努果振り)→たかび」は、(刃物の)手の効果の役割を担っている部分、の意。意味は「たかみ」と変わらない。「たかひ」は「てはかあひ(手努果合ひ)」。(刃物の)手の努力に合う部分。

「撫劒(つるぎのたかみとりしばりて)雄誥(をたけびして)曰(のたまは)く 撫劒 此云 都盧耆能多伽彌屠利辭魔屢(つるぎのたかみとりしばる)」(『日本書紀』「神武即位前」)。

「焼太刀(やきたち)の 手(た)かび(手頴)押しねり」(万1809)。

「弓彇(ゆはず)振(ふ)り起(た)て、劒柄(たかひ)急握(とりしば)りて…」(『日本書紀』「神代上」)。

「昔者、天より降りましし神、御剣の柄を此地(ここ)に置きたまひき。因りて剣柄(たかひ)の村と曰ひき。後の人、改めて高日(たかひ)の村と曰ふ」(『日向風土記(逸文)』)。

 

◎「たかむな(筍)」

「たかむなな(鷹胸菜)」。鷹の胸のような菜(な)、の意。「な(菜)」は食用植物の意。「むな」は「むね」の語尾A音化による情況化。竹の子の皮の色模様や毛羽だった印象が鷹の胸を思わせた。筍(たけのこ)の別名。

「伊弉諾尊(いざなきのみこと)、又(また)湯津爪櫛(ゆつつまぐし)を投(な)げたまふ。此(こ)れ卽(すなはち)筍(たかむな)に化成(な)る」(『日本書紀』)。

「笋 ………和名太加無奈 竹初生也……味甘平無毒焼而服之」(『和名類聚鈔』)。