◎「たがへ(違へ)」(動詞)
「たがひ(違ひ)」(9月22日)の他動表現。違(たが)ふ状態にすること。まったく分かれた(分けられた)情況にする。事象が、分かれた、分けられた、異なった、別の、事象にされる。簡単に言えば、分(わ)けて、や、異(こと)なって、ということ。
「(御祖命(みおやのみこと)は)乃(すなはち)木國(きのくに)の大屋毘古(おほやびこの)神の御所(みもと)に(大国主命を)違(たが)へ遣(や)りき」(『古事記』:(大国主命の)御祖命(みおやのみこと:母神)が、大国主命を、八十神(やそがみ)と分けて、これと活動が一体化しないようにし、木國(きのくに)に行かせた、ということ)。
「東の陣より出すべきなり、と述給ふを聞きて内の人ある限り東の陣に、舁(か)い出で行くを見ん、とて集ひ集まりたるほどにたがへて西の陣より殿上のたたみながら舁(か)き出でて出でぬれば人々も見ずなりぬ」(『宇治拾遺物語』:東の陣から(遺体を)だす、と聞き人々がそちらへ見物に集まり、それと異なり西の陣から出し、人々が遺体を見ることはなかった、という話。「たたみながら」は、急死した遺体が横たわった畳(たたみ)のまま、ということでしょう)。
「機をたがへ」。機と異なった場合を機としてしまう。機としてある成果がそこにはない。
「故人の心たがへ」。個人の心とは異なった、故人の心にならない、ことをする。
「方をたがへ」。行く方向を異なったものにする。
「イカニモイカニモ御ハカライ御気色(キショク)ヲバタガヘマイラセ候マジキニ候」(『愚管抄』:その気色を(普通にない)ことなったものにさせることはないだろう)。
◎「たがへし(耕し)」(動詞)
「たかへし(田返し)」。田の土(表土)を返すような作業をすること。この動詞は「たがやす(耕す)」になる。「たがへし」が「たがえし」になり「たがやし」になる。
「耕 タカヘス」(『類聚名義抄』)。
「Tagayexi(タガエシ),su(ス),eita(エイタ). Lavrar,ov cavar as verzeas(田をたがやす又は掘る) 」(『日葡辞書』)。