◎「たが(箍)」

「いたかひわ(板支ひ輪)」。「い」「ひ」の音(オン)は退行化した。板(いた)を維持する輪(わ)、の意。横に並べた板の形体を円状に維持する。堅固に円状に維持された板には底が設置され、全体は「たる(樽)」となる。ちいさければ「をけ(桶)」にもなる。

「𥶡 …………江戸にてたがといふ 同たがかけと云 田舎にてたがやといふ」(『物類称呼』:「たがや」は、𥶡(たが)よわ(節輪)、か。「よ(節)」は竹の節(ふし)と節(ふし)の間の部分。つまり、𥶡(たが)たる竹の輪(わ)、の意。樽に設置されたそれではなく、独立したそれ)。

 

◎「たか(鷹)」

「たけは(猛羽)」。「たけ(猛)」は「たけし(猛し)」の語幹にあるそれ。羽(羽ばたき)に力強さ、力の発生、を感じる鳥、の意。鳥の一種の名。

「…鳥座(とぐら)結ひ 据えてぞ我が飼ふ 真白斑(ましらふ)の鷹(たか:多可)」(万4154)。

「鷹 …タカ」(『類聚名義抄』)。

 

◎「たかき」

「たかくゐ(高く居)」。「くゐ」が「き」の音になっている。「たかくゐ(高く居)→たかき」は、社会的な意味や価値として高く居ること・もの、ですが、これが居住・生活施設に関して言われる。つまり「たかき」は、立派な、社会的な意味や価値が高そうな家(居住・生活施設)。

「宇陀(うだ)のたかきに鴫罠(しぎわな)張る」(『古事記』歌謡10:兄宇迦斯(えうかし)・弟宇迦斯(おとうかし)と言われる二人が立派な大殿で生活していたわけです)。

「大和辺に見が欲しものは、忍海(おしぬみ:奈良の地名)の、このたかき(陀哿紀)なる角刺(つのさし)の宮」(『日本書紀』歌謡84)。