◎「そらかぞふ(枕詞)」
「そらかぞふ(虚数ふ)」。虚(そら)で(何もなく)数える。その作業は無限に大きくなっていくわけであり、「おほ(大・多)」にかかる。
「そらかぞふ(天數)大津(おほつ)」(万219)。
◎「そらみつ(枕詞)」
「そらみちう(空満ち居)」。「う(居)」は「ゐ(居)」の終止形。空(そら)に満ち存在している、ということ。この語が「や」にかかり、「や」は蜻蛉(とんぼ)を意味する(→「とんばう(蜻蛉)」の項)。空一面に現れる赤トンボの印象です。そしてこの言葉は「やまと(大和)」にかかる(→「やまと(大和)」の項)。この枕詞は、一般に、かかり方未詳、と言われている。
「…その虻(あむ)を蜻蛉(あきづ早(はや)食ひ かくの如 名に負はむと そらみつ(蘇良美都) 大和(やまと)の国を あきづしまとふ(と云ふ))」(『古事記』歌謡97:「あむ(虻)」は「あぶ」とも言う)。
◎「そらまめ(空豆)」
「そりひらまめ(反り平豆)」の音変化。「ひ」は脱落した。その実の形態が反(そ)った平(ひら)たい印象であることによる名。植物名。この植物は西方から中国を経て日本に渡来したもののようですが、それがいつのことなのかは明瞭ではない。
「蠶豆 曾良未米 異名 胡豆」(『多識編』(1649年))。
◎「そり(橇)」
「そり(反り)」。(抵抗を緩和し滑りやすくするために)形状的に反(そ)った印象であることによる名。(とりわけ雪上を)滑らせて物を運搬したりすることに用いる装置。
「橇 ソリ ……如箕擿行泥」(『書言字考節用集』:「擿」は『説文』に「搔也」とされる字)。