◎「そぼふり」(動詞)
「そへをふり(添へを降り)」。「を」は状態を表現する。主ではなく、主に副(そ)えたように、副次的印象で、降(ふ)る。「そほふり」とも言った。「そぼふる雨」。
「弥彦(いやひこ)おのれ神さび青雲のたなびく日すら霂(こさめ)そほふる(曾保零)」(万3883)。
◎「そぼれ(戯れ)」(動詞)
「そふをおれ(添ふを疎れ)」。「おれ(疎れ)」はその項参照。この場合は、痴呆的というわけではないが、何かにうっとりしてしまっているような状態であることを表現する。「を」は状態を表現する。「そふをおれ(添ふを疎れ)→そぼれ」は、傍(かたは)らにいる状態で愚かしい状態になる、ということですが、ふざけあったり、複数人でいる関係が非常にくだけた状態になったりすること。言動が「そぼれ」は、ふざけてくずれた印象であり、文字の書き方が「そぼれ」といった言い方もする。書き方があまりに手馴れていて崩れている。
「…いよいよほこりかにうちとけて、笑ひなどそぼるれば…」(『源氏物語』)。
「院の尚侍こそ、今の世の上手におはすれど、あまりそほれて、癖ぞ添ひためる」(『源氏物語』:これは筆跡を言っている)。