◎「そへ(添へ)」(動詞)
「そひえ(添ひ得)」。AをBに「そひえ(添ひ得)→そへ」、AがBに添ふ状態を得る(BはAの添えを得、Aが添えられた状態になる)、という表現が「そひ(添ひ)」の他動表現になる。意味は「そひ(添ひ)」の状態にすること。「そひ(添ひ)」にかんしてはその項(8月12日)。
「たな霧らひ雪も降らぬか梅の花咲かぬが代(しろ)にそへてだに見む」(万1642:雪(A)を梅(B)に「そひえ(添ひ得)→そへ」。「代(しろ)にそへ」は、それ(梅)と等価として、梅の代わりにするため)。
「形のいとも清らなるにそへて、心さへこそ人にはことに…」(『源氏物語』)。
「優勝に花をそへ」。
◎「そへ(沿へ)」(動詞)
「そひえ(沿ひ得)」。AをBに「そひえ(沿ひ得)→そへ」、AがBに沿ふ動態状態を得る、という表現が「そひ(沿ひ)」の他動表現になる。「そひ(沿ひ)」の状態にすること。「そひ(沿ひ)」の動態状態にすること。何かがそうされる。「そひ(沿ひ)」にかんしてはその項(8月12日)。
「年月にそへて宮の内淋しくのみなりまさる」(『源氏物語』:これは「添(そ)へて」ではない。年月に同動して)。
「いみじき源氏の武者たちをこそ御送りにそへられたりけれ」(『大鏡』)。