「そとくるり」。「そ(其)」は何かを指し示す。「と」は思念的に確認しますが、それがそれとしてある「そ(其)」が確認される。「くるり」は回転を表現する擬態「くる」による語(その項)ですが、これが、全体を余すところなくまわっていること、余すところなく全体に及んでいることを表現する。これにより、たとえば「Aそっくり~」と言った場合、「~」という動態がAとしてある全体に及んでいることを表現する。その全体は物的全体も意味し→「『…あんなに溜めた所(ところ)が死ねば置(おいて)往くもの。その跡では実子もなし。他人にそつくり遣(や)るのだが、つまらねへ理屈だの』」(「滑稽本」『浮世床』)、動態として全体、すなわち動態としてそのまま、も意味する→「『洗濯をいたしたままでそつくりと積んでございます』」(「滑稽本」『浮世床』)、「きみはお母さんそっくりだね」。
人が後ろへ反(そ)るような体勢になることを表現する「そっくり」もある。これは「そりくるり(反りくるり)」。「くるり」と、まるで回転するかのように、反(そ)る。「碓(からうす)を踏みも習はぬ跛馬(ちんばうま)。谷の板橋がくりそつくりと歩みなづむが如くなり」(「浄瑠璃」『日本武尊吾妻鑑』)。「そっくりかえる(そっくり返る)」。