◎「そだたき」(動詞)

「せをたたき(背を抱き)」。「たたき(抱き)」はその項。「せをたたき(背を抱き)」は、背に手をまわし「たたき(抱き)」を行うこと。つまり、相手の背に手を(腕を)回し両手でその身体を抱くこと。『古事記』歌謡4にある表現。

「若やる胸をそだたき(曾陀多歧)抱(たた)きまながり」(「まながり」はその項参照)。

 

◎「そだち(育ち)」(動詞)

「そだて(育て)」の自動表現。育てられた状態になること。

 

◎「そだて(育て)」(動詞)

「そそたて(そそ立て)」。「そそ」は動態を促す→「そそかし」(形シク)の項。「たて(立て)」は発生させること。全体は(身体も心情も含め生育・成長という)動態を促し誘発すること。人に代表される生体にかんしいうことが基本ですが、社会的な意味や価値、それが増し影響力が拡大することにも言い、(これは俗語的な表現であろうけれど)心情や思いをある状態にすること、すなわち、おだててのせ、ある思いにさせることなども言う。

「子をそだて」。

「そだつる―のすると同じこと也。向ふの気に随(したが)ひて軽薄し褒美する貌なり。子などを育あぐる心也。」、「響のそだて―面談にていはず、かげにて誉(ほまれ?)感ずるを人伝に人に聞へて悦ばする謀を言」、「のする―其者を満足がるやうにいひなして歓ばする貌をいふ。…」(以上『色道大鏡』)。