◎「そしう」

「ショシウ(諸洲)」。さまざまな国、全国。「ショ」を「そ」と書くことに関しては「ショヤ(初夜)」を「そや」と書いたりする例がある。「そやはてゝまかづれば時は子(ね)ばかりなり」(『蜻蛉日記』)。「てらてらのそやもみなおこなひはてて(寺々の初夜も皆行ひ果てて)」(『源氏物語』)。

この「そしう」という語、一般に、語義未詳とされている。

「『ことにととのへ行ふこともはべらず(知っていてそれを特に揃えたということではございません)。ただ公事に、そしうなる(全国の)物の師どもを、ここかしこに尋ねはべりしなり。…』」(『源氏物語』)。

 

◎「そしり(謗り)」(動詞)

「そしいり(殺し入り)」。「そし(殺し・過し)」はその項(7月16日)。「いり(入り)」はまったくそういう状態になること。何かの意味や価値を喪失させたり逆の印象を生じさせたりする状態にすること。評価として意味も価値もない虚しいものにすること。つまり、けなしたり悪口を言ったりする。

「無知にして正法を謗(ソシリ)…」(『金光明最勝王経』)。