◎「せかへ(塞かへ)」(動詞)

「せきあへ(塞き堪へ)」。何かに障害を生じさせその障害状態を維持すること。せき止めること。「せきあへ」という表現もある。

「嘆(なげ)きせば人(ひと)知(し)りぬべみ(当然そうなるだろう)山川(やまがは)のたぎつ情(こころ)をせかへてあるかも」(万1383)。

 

◎「せがみ」(動詞)

「せきからみ(急き絡み)」。勢い込み絡(から)むように働きかけること。働きかけの内容は、何かをしてくれ、と願望を満たそうとすることが多いですが、叱るように人を責めることも「せがむ」と表現する(この点は「せびり」(その項)に似ている)。「せがみ」「せびり」「ねだり」は似たような意味で用いられますが、もっとも深刻な意味を表現するのは「せびり」。

「後の毒をかへりみず、その子を教へせがまぬだに不便なるに…」「我がつかはん人のあやしからんために、今せがみさいなむ事、いと見ぐるしかるべし」(『十訓抄』:「教へせがまぬ」は明治時代の『十訓抄』註解書では「教へ誡(いましめ)ぬ」と説明されている)。

「『おばあさん、一銭おくれ』『おばあさん、おれにも』

二人は肩をおばあさんにこすりつけてせがむのである」(『春の湖』(伊藤左千夫))。