◎「ずんど」

「ずんド(ずん度)」。「ずん」は勢いのある動態を表現する擬態(→「ずん」の項・5月28日)。「度(ド)」は越え度(わた)ること(→「得度(トクド)」(あちらへ度(わた)ることを得る))。「ずんど」は、勢いをもって越え渡り、の意。程度を超えた印象があり、非常に、や、なにごとかが勢いのある印象をもって起こることを表現する。この「ずんど」により否定が表現された場合、否定が強調される→「(行方が)ずんど知れぬ」(行方がまったくわからない)。

「ずん」が均(なら)された平らであることを意味する(→「ずん」の項)「ずんど」もある。「ずんどに切りし庭の青柳」、「直截(ヅンド)の茶壷」。

「と」が通常の助詞である「ずんと」という表現は一般的にある。

「『これ三太、此處(ここ)へ来い。つつと寄れ』と膝元に呼びつけ。『こいつはずんど利口者で、言ふなといふ事いはぬ奴。それで人が可愛がる…』」(「浄瑠璃」『重井筒』)。

「いかにありあふ鬼どもよ……客僧達を慰めよ。一さし舞へとぞ仰せける。……………(酒により)前後もさらに辨(わきま)へず。されどもその中に、いしくま童子はずんど立つて舞うたりける」(「御伽草子」『酒呑童子』)。

「Zzundo(ヅンド).  … Modo de fazer algua cousa expeditamente(迅速にことをなすこと)」(『日葡辞書』)。

 

◎「ずんどう」

「ずんどう(ずん胴)」。「ずん」は均(なら)され凹凸がないこと→その項。「胴(ドウ)」(人で言えば、頭部・手・足を除いた身体部分)に凹凸がない印象であること。

「ずんどうなべ(ずんどう鍋)」。

 

◎「ずんどぎり」

「ずんど」(その項)の「ずん」(その項)が、勢いのあることではなく、均(なら)され、凹凸なく、を意味し、その状態・動態で切る「ずんどぎり」はまっすぐ、平(たひら)に、とりわけ、水平の印象で、切ることを意味する。