◎「すなほ(素直)」
「すなほ(素直)」。「す(素)」「なほ(直・尚)」はそれぞれの項。障碍感の無い、純粋な、夾雑物・混じり気の無い、そのままの「なほ(直)」(無変動)。
「而(しか)るを今(いま)運(とき)屯蒙(わかくくらき)に屬(あ)ひて、民(おほみたから)の心(こころ)朴素(すなほ)なり」(『日本書紀』)。
◎「すね(髄)」
「すふにゑ(吸ふ煮餌)」。「ゑ(餌)」は食べ物を意味する。吸うところの煮るたべもの、の意。それは煮られる。そしてその煮汁を吸って食う。つまり、スープにするもの、ということです。骨の中心部分の組織を言う。鹿なり猪なり、食用の獣が得られた際、その骨の中心部分がそのように利用されたわけです。
「髄 …和名須禰 骨中脂也」(『和名類聚鈔』)。
「親のすねを齧(かじ)る」の「すね」はこの語でしょう。
◎「すね(脛)」
「ししうね(宍うね)」。「うね」は山なりになっている状態を表現する擬態。肉(しし)が「うね」になっている印象の部分、の意。人体の膝から足首に至る部分をいう。その背部の印象で言ったわけです。「はぎ」とも言う。その後部は「ふくらはぎ」。
「ながすねびこ(那賀須泥毘古)」(『古事記』:これは人名。これは髄(すね)とは思われない。足が長かったのでしょう)。
「親のすねを齧(かじ)る」の「すね」はこの語ではなく、「髄(すね)」であろう。骨の髄(ズイ)までしゃぶる、のような意。「すねに傷もつ」の「すね」はこの語であり、脛(すね:足の下半)に傷があると(触って痛み)笹原も自信をもって走れないと言われることに由来する。