◎「すな(砂)」
「すなご」(古くは「すなこ」)の下略。「すなご」は「すなこ(州な粉)」。「な」はN音により情況的に認了するそれ。「す(州)」には水が浸透し抜けて行く印象があり、その状態の「こ(粉)」の印象のものが「すなご」。石が細かくなったものですが、地質学では、「すな」は岩石の微砕物であり粒径が2ミリから16分の1ミリだそうです。
「砂 ……水中細礫也…和名以左古(いさこ)又須奈古(すなこ)」(『和名類聚鈔』:「いさこ(砂)」は「いしはこ(石端粉)」。石の破片のような粉のようなもの)。
「磣墋 ………石微細而随風飛也 伊佐古又須奈古」(『新撰字鏡(群書類従本)』)。
「足を砂子に脛の半らばかり踏み入れて目も赤く睨みなして数珠を砕けぬと揉みちぎりて」(『宇治拾遺物語』)。
「すなはま(砂浜)」。「すなば(砂場)」。
◎「すなどり(漁り)」(動詞)
「しうにやとり(為鵜にや取り)」。「しう(為鵜)」は、鵜をしている、鵜になっている、の意。「しうにやとり(為鵜にや取り)→すなどり」は、鵜になったのか、と思うように取る、ということであり、魚をとること、とりわけ、海でそうすること(原意は川でしょう)、さらには海での海産物採取一般、を言う。
「梁(やな)を作(う)ちて取魚(すなどり)する者(もの)有(あ)り 梁此云揶奈 天皇(すめらみこと:神武天皇)問(と)ひたまふ。對(こた)へて曰(まを)さく、『臣(やつかれ)は是(これ)苞苴擔(にへもつ)が子(こ)なり』とまをす。苞苴擔此云珥倍毛菟 此(こ)れ則(すなは)ち阿太(あだ)の養鸕部(うかひら)が始祖(はじめのおや)なり」(『日本書紀』:「阿太(あだ)」は現・奈良県五條市)。
「沖方(おきへ)行き辺(へ)に行き今や妹(いも)が為(ため)吾(わ)がすなどれる裳臥束鮒(もふしつかぶな)」(万625)。
「漁釣具 第百九十四 漁 …説文云捕魚也 訓須奈度利」(『和名類聚鈔』)。