「シュッケはらり(出家はらり)」。「シュッケ(出家)」は仏門に入ること。僧になること。「はらり」は全的に落ちること→「はらり」の項。どういう意味かというと、僧になる際(サイ)に毛(け)を落とす(頭髪を剃る)。毛が無(な)い→気(け)がない。あった、あるいは、あるはずの、気(け)がない、ということ。つまり「シュッケはらり(出家はらり)→すっかり」は、なんの気(け)もなく、ということ。

「すかすか」(その項:透過感を表現する)の「すか」による「すかり」、その強意たる「すっかり」による「すっかり」もある。その意味の「すかりと切る」や「すっかりと切る」は透過するように、抵抗感なく切る。「シュッケはらり(出家はらり)」の意の「すっかりと切る」は切られる気(け)→「Scarito(スカリト).l,succarito(スッカリト).… Mode de pasar por alto,ou de errar o aluo co a seta, & c(通り過ぎる、または矢を外す). Sucarito i fazzuita(スカリト イ(射)ハズイタ). Erroue claro co o arco,&c(弓を射外す)」(『日葡辞書』)。

「今の世のむすめならは火のたはこ(煙草)のといふことをあたまからやめて物もいはす寝まき侭(のまま)にてすつかりとねて居(ゐる)男の脇へいかかり(寄りかかり)」(『独寝』)。

「先(まづ)おせいが高くすつかりとして」(「洒落本」『野路の多和言』:障る気(け)のないすっきりとした印象)。

「まげの一をぐんとあげて中のひくき大島田まへ髪をすつかりとそろへて切てかんざしでおさへたすがたは…」(「洒落本」『船頭深話』)。

「本年は三十七ぐらひ、色白くせいかつかう(背格好)すつかりとしていやみなし」(「洒落本」『北郭鶏卵方(ホツクワクたまごのシカク)』)。

「SUKKARI  スッカリ adv.(coll.)  Clear(明瞭に), distinct(明確に、はっきりと), plain(明白に) ; all(すべて), entirely(全的に、まったく), clean(不純なく) : kanega(カネガ)―nakunatta(ナクナッタ), his money is clean gone(彼の金はなくなった) ; ―to iu(ト イウ), to speak plain(明白に言う), or without disguise(あるいは、嘘偽りなく) ; ―to kiru(ト キル). to cut anything clean off(すべて切り去る). Syn. SAPPARI(サッパリ)」(『改正増補 和英英和語林集成』)。

「すっかり準備は整っていたのに…」。「すっかりその気になって」。