◎「すずしろ(大根)」
「すずしろを(鈴白緒)」。「お(緒)」は線状の長いものを意味する。鈴のようでもある白い線状の長いもの、の意。別名、「ダイコン(大根)」。植物の一種の名。食用野菜。春の七草の一。古くは「おほね(大根)」と言い、「だいこん」は「大根」を音読みした語。「すずな」という言葉もある。これは「すずには(鈴に葉)」。その形態が鈴に葉をつけたような印象のもの、の意。別名「かぶ(蕪)」。これも食用野菜であり、春の七草の一。
「七種菜 薺(ナヅナ) 蘩蔞(ハコベ) 芹(セリ) 菁(カブ) 御形(ごぎゃう:ハハコグサ) 須須之呂(すずしろ) 佛座(ほとけのざ:コオニタビラコ)」(『拾芥抄(シフガイサウ)』下・飲食部第廿八)。
◎「すすどし」(形ク)
「しふしつよし(為節強し)」。「ふし(節)」は、「思い当たるふしがある」と言ったりするような、特異的に感覚感のあるそれ、対象として独律化する存在感のある発生感をすること・もの、ということなのですが、「しふしつよし(為節強し)→すすどし」、すなわち、「し(為)」に感じられる特異的な感覚感(「ふし(節)」)が強い、とは、その言動や性格に知的な、あるいは行動的な、俊敏性が感じられたり、気性が勢いがあり激しかったりし、度が過ぎると、ずる賢い、や、あくどい、と言われるような状態であったりする。
「九朗はすすどきおのこにてさぶらふなれば、大風大波もきらはず」(『平家物語』)。
「Susudoi(ススドイ). Muito prudente,& sagaz juntamente com algum rigor,& y aspereza(非常に思慮深く、聡明であるとともに、厳格さと荒々しさを併せ持つ)」(『日葡辞書』:原文、sはロングエス)。
「若年の時よりすすどく無用の欲心なり」(「浮世草子」:これは『世間胸算用』五巻二「才覚の軸すだれ」にある一文ですが、親に『外の事なく手習を精に入れよ』と言われた子は幼いころからすすどく(寺子屋で他の子が捨てた筆の軸を集めて金を稼ぐようなことは)無用な欲心になっている、ということか)。
「よくいへば如才ない、抜けめのない、わるくいへば、すすどい」(『ゆく年』久保田万太郎)。