◎「すずみ(涼み)」(動詞)

「すずしすみ(涼し澄み)」。「すずすみ」のような音(オン)を経つつ「す」は脱落した。「すみ(澄み・済み)」はそれがそれとしてあるあり方になること。それをそれではない状態にしているなにかが除かれそれは回復する。「すずしすみ(涼し澄み)→すずみ」は、「すずし(涼し)」という状態になることにより、澄(す)むこと、自己回復すること。自己回復に関しては「すみ(澄み・済み)」の項。

「いと暑き日、東(ひむがし)の釣殿(つりどの)に出でたまひてすずみ給ふ」(『源氏物語』)。

 

◎「すずめ(雀)」

「すすうめ(鳥鳥埋め)」。「す」は鳥を意味する(→「す(鳥)」の項・2月22日)。その連音は複数を表現する。「うめ(埋め)」は自動表現であり、満ちることを意味する→「うめ(埋め)」の項・2020年7月16日。無数の鳥が世界を埋めるような状態になる。「すすうめ(鳥鳥埋め)→すずめ」は、そのような鳥、の意。つまり、群れをなし群れで移動する鳥、の意(たとえば「やまがらめ(やまがら)」)にある「め」もこれ。これらの鳥は群れて行動することが特徴的なのです。「かもめ(鴎)」や「つばめ・つばくらめ(燕)」の「め」は「まへ(舞へ)」(「まひ(舞ひ)」の他動表現)。この「すずめ」という言葉は元来は群れをなす小鳥を広くそう呼んでいたのかもしれない。後には(最も一般的な)ある種の小鳥の名になる。「すずみ」という言い方もある。これは「すすうみ(鳥鳥埋み)」(埋み、は他動表現)。

「庭雀(にはすずめ:爾波須受米)うずすまり居て…」(『古事記』歌謡102)。

「是(こ)の日(ひ)の同(おな)じ時(とき)、人(ひと)有(あ)りて、白雀(しろすずみ)を以(も)て籠(こ)に納(い)れて、蘇我大臣(そがのおみ)に送(おく)る」(『日本書紀』皇極天皇元年秋七月)。

「雀 …………和名須須米」(『和名類聚鈔』)。

 

◎「すすり(啜り)」(動詞)

「すす」は何かを吸い食う際の音に由来する擬態(擬音による擬動態)。「すす」の状態で何かを吸い食うこと。

「そのおろし米の座にて、芋粥すすりてしたうちをして…」(『宇治拾遺物語』:「おろし米」は、大饗宴などあった際、残った食べ物を、出席者たちに仕えている者たちに食べさせること)。