◎「すくね(宿禰)」
「すくね」は古く「足尼」と書いた(足(ソク)と尼(ニ)の音)。「阿曾美爲朝臣 足尼爲宿祢(阿曾美を朝臣と為し足尼を宿禰と為す)」(『続日本紀』宝亀四(773)年五月辛巳:「阿曾美(あそみ)」を「朝臣(あそみ)」に、「足尼(すくね)」を「宿祢(すくね)」に、表記を変えたということ)。
「……、大水口宿禰(おほみくちのすくね)、……、三人(みたり)共(とも)に夢(いめ)を同(おな)じくして奏(まう)して言(まう)さく」(『日本書紀』崇神天皇)。
「大前小前宿禰(すくね:須久泥)」(『古事記』歌謡81)。
「大伴宿禰家持」(万629題詞)。
◎「すくなびこな(少名毘古那(神名))」
「すくねなひこな(宿禰な彦な)」。「すくね(宿禰)」はその項(根本的な頼りになる主体、の意)。「な」はなにごとかを認了する。「すくねなひこな(宿禰な彦な)」は、その「すくね」たる「日(ひ)の子(こ)→ひこ」の意。これは神名。
「故(かれ)、それより、大穴牟遲(おほなむぢ:大国主命)と少名毘古那(すくなびこな)と、二柱(ふたはしら)の神(かみ)相並(あひならばして)、此(こ)の國(くに)を作(つく)り堅(かた)めたまひき」(『古事記』)。