◎「すかひ(次ひ)」(動詞)
「すきはひ(次き這ひ)」。「すき(次き)」は担当し受け継ぐ意味になる(→「すき(次き)」の項)。「すきはひ(次き這ひ)→すかひ」は、次ぐ情況、連続する情況になること。人の立場や様子・人柄などにかんしても言う。AがBを受け継いだ場合、AはBに並び匹敵した、という印象にもなる。「すかひすかひ」は、次々と連続し過ぎて行きつつ、の意。
「かういふ 幸(さいは)ひ人の腹の后(きさき)がねこそ、また 追ひすかひぬれ。(内裏に)立ち出でたまへらむに、ましてきしろふ人ありがたくや」(『源氏物語』:「后(きさき)がね」は后となることが考えられている人(「がね」の項・2021年5月6日)。「きしろふ」は、競(きそ)い争ふ、のような意→その項・2021年8月8日)。
「しだり咲く萩のふる枝(え)に風かけてすかひすかひにを鹿(じか)なくなり」(『山家集』)。
◎「すがめ(眇)」
「しひうげはめ(廃ひ穿げ端目)」。「しひ(廃ひ)」は無機能化すること。「うげ(穿げ)」は、虚(うつ)ろな、穴が開いたような状態になること。「は(端)」は部分域を意味する。「しひうげはめ(廃ひ穿げ端目)→すがめ」とは、無機能化したり物的に欠損したりし、完全体の損なわれた、部分の印象になった目。さまざまな原因により、そうした印象の目はさまざまに現れるでしょうけれど、もっとも一般的なのは、原因は合戦による負傷であれなんであれ、片目が失われている状態の目です。また、機能が一方へ偏っている印象の目つき、横目、流し目、もいう。また、この語がそのまま動詞化もし、とくに、狙いをさだめ片目で見る動態を表現する。
「𥋙 ……一目閉 須加目」(『新撰字鏡』)。
「䀎 ………スカメ ニラム …ヨコメ」「睐 ……スカメ カタハラミル」(『類聚名義抄』)。
「Sugame(スガメ),uru(ムル),eta(メタ). ……………… Meuo sugamete miru(メヲ スガメテ ミル).」(『日葡辞書』)。