◎「すがすがし(清清し)」(形シク)
「すきかはしゆかし(透き交はしゆかし)」。通行感・透過感が、自己と(他者も含めた)環境と交錯し(障碍感がなく。あるいは、なくなり)心ひかれ好ましい、という表現。抵抗や障碍(障(さは)り)がなく、自由を得た解放感が感じられる。「すき(透き)」や「ゆかし」はその項。
「ここに須賀 此二字以音下效此 の地に到りまして、詔りたまひしく、『吾此地に来て、我が御心すがすがし(須賀須賀斯)』とのりたまひて…」(『古事記』)。
「大臣の(源氏は)、『心あわたたしきほどならで(心あわただしくならず)。まれまれの御参りなれば(まれな参内なので)、 (帝の)御心ゆかせたまふばかり(心ゆくまでゆっくりと)。許されありてを(許しがあったら)、まかでさせたまへ(退出なさりなさい)』と、聞こえさせたまひしかば(と、(玉鬘に)言っています)。今宵は(今夜というのは。今夜退出するというのは)、あまりすがすがしうや(限度を越えてすがすがしく、抵抗なく、はありませんか? あまりにも他者への配慮や思いやりなくすがすがしい気持ちになりたがってはいませんか?)」」(『源氏物語』)。
◎「すがすが」
「すぐやすぐや(直や直や)」。抵抗や滞りがないこと。「すぐ(直)」はその項。
「ぬまじり(沼尻)といふ所もすがすがとすぎて…」(『更級日記』)。
「(…と)思ひきこえたまひて(…と思って)、 すがすがともえ参らせたてまつりたまはぬなりけり(抵抗なく参内させるというわけにもいかなかった)」(『源氏物語』)。