◎「しらふ(素面)」
「シュいらんフウ(酒入らん風)」。「いらん(入らん)」は否定。「フウ(風)」は、さまざまな意で用いられますが、ここでは、やり方、様子、人間性や族性などのあり方(→「どういう風(フウ)にやればいいのかよくわからない」「武家風(フウ)のいでたち」)、といったこと。「シュいらんフウ(酒入らん風)→しらふ」は、酒が入(はい)らない、酒を呑んでいない、そういった意味での、風(フウ)。
「暮(ゆふべ)に紅顔の酔客(なまゑひ)も、朝湯に醒的(しらふ)となるが如く…」(「滑稽本」『浮世風呂』)。
◎「しらみ(虱)」
「しひいらみ(廃ひ苛見)」。夢中になってまるで廃(し)ひたように、そして苛々(いらいら)と、見る(探す)、そんな印象で探す虫、の意。この虫がたかり、刺された場合痒(かゆ)みが起こる。そして、この虫は非常に小さい。虫の一種の名。
「蟣虱 説文云蟣…和名木佐々 虱子也 虱…和名之良美 齧人虫也」(『和名類聚鈔』:「きささ(木佐々)」は「けゐいささ(毛居細小)」か。毛にいる細かなもの。ケジラミのこと。「いささ(細小)」はその項)。
「令取其頭之虱(そのあたまのしらみをとらしむ)」(『古事記』)。