「しみ(浸み・染み)」の他動表現。浸透的影響進行・動態進行させること。これは、S音の動感により、対象に動をさせる使役形他動表現であり、対象を浸透的影響進行する状態にすれば、たとえば「白露」が「紅葉葉(もみぢば)」を「しめ」れば、紅葉は一層進み映える。

「しめなは(注連縄)」の「しめ」はこれです(つまり、これは「しめ(占め)」ではなく、それは占有域であることを表現しているわけではない)。つまりその「しめなは(注連縄)」の延(は)へのある域に対する客観的存在としては、その浸透的影響進行のある域であることを表現する。何の浸透的影響が進行するのかと言えば、それは神意と言っていい自然たる時間です。「しま(島)」の項参照(2022年12月26日)。

「秋山の紅葉葉(もみぢば)しむる(自牟留)白露(しらつゆ)のいちしろきまで妹(いも)にあはぬかも」(『歌経標式』:紅葉葉を「しむる」白露。白露が紅葉葉に浸透的影響進行させている。透明純粋な白露が紅葉葉を燃えるように赤くしている)。

「陸奥紙(みちのくにがみ)の厚ごえ(肥え)たるに、匂ひばかりは、深うしめたまへり」(『源氏物語』:香を焚きしめた)。

「『「あぢきなきことに心をしめて、生ける限りこれを思ひ悩むべきなめり…』」(『源氏物語』:あぢきなきことに心を浸透的影響進行させて…。あぢきなきことに心がしみて(自動)・あぢきなきことに心をしめて(他動)。「しめ(占め)」の場合は、あぢきなきことに心がしめられ、になりそうです)。