◎「しばり(縛り)」(動詞)
「しめやり(締めやり)」。「やり」は放任すること、何かを自分の影響力・支配管理力が関知しない情況や動態のままにすることですが、「投ちやり(うちやり)→うっちゃり」のような「やり」。「しめやり(締めやり)→しばり」は、締められた状態へと投げやるような表現。締(し)められた対象はそれにより自由な力の解放はできなくなる。「しまり」とも言う。「(交通違反の)とりしまり(取り締まり)」の「しまり」はこれ(この「しまり」は、戸が閉(し)まり、のそれではない)。
「大臣(おほおみ)の伴黨(ともがら)田口臣筑紫等(たぐちのおみつくしら)を捉(かす)ゐ(拘束し)聚(あつ)めて、枷(くびかし)を着(は)け反(しりへでに)縛(しば)れり」(『日本書紀』)。
「縛 シハル 齊髪也」(『色葉字類抄』:髪を揃(そろ)え整(ととの)えることだと言っているわけですが、髷(まげ)などを結う際にその根元を結うことだということ)。
「大君の 王子(みこ)の柴垣(しばかき) 八節締(やふじま)り(夜布士麻理) 結(しま)り(斯麻理)廻(もとほ)し…」(『古事記』歌謡109)。
◎「しばれる」(動詞)
「しばれ」が「しみいまれ(凍み忌まれ)」。「いまれ(忌まれ)」は「いみ(忌み)」の助動詞「れ」による自発表現。「しみ(凍み)」は、凍(こお)ったり凍るような状態になったりすること。それが忌むような状態であることが「しばれる」。寒さが厳しいことを表現する。東北や北海道でよく言われる表現。