◎「しなめ(匿め)」(動詞)

「途中」の意の「しな」の動詞化→「しな(品)」の項(11月20日)参照。情報(出来事)を(が)、発せられ(起こり)ながらどこにも帰属しない(中途な)状態にすること。それを隠すこと。

「是(ここ)に、皇后(きさき)及(およ)び大臣(おほおみ)武內宿禰(たけしうちのすくね)、天皇(すめらみこと)の喪(みものおもひ)を匿(しな)めて、天下(あめのした)に知(し)らしめず」(『日本書紀』)。

 

◎「しなやか」

「やか」は「花(はな)やか」その他のそれですが(→「やか」の項)、「しなやか」には二つの系統の意味がある。

・一は、原意たる品(しな)が感じられること(「しな(品)」に関してはその項)。品(しな)と評価し得る品格が感じられること。

「いと清げにしなやかなる童(わらは)」(『源氏物語』)。

「撫子(なでしこ)の花はしなやかに美し」(『仙覚抄』)。

・また一は、女が「しな」をつくって動作をする「しなしな」や動詞「しなひ(撓ひ)」に影響された「しな」による「しなやか」。これは柔軟な印象を表現する。

「悔(くや)み寄(より)かかるは傾城(けいせい)の常(つね)。まして無心いふときのしなやか」(「咄本」『鹿の子餅』)。