この語は「いとめ(射止め)」の動態が「い(射)」に限定されず「し(為)」で一般化している表現でしょう。「いとめ(射止め)」は「Aをいとめ」とも「Aにいとめ」とも言われる語であり、原意は、止(と)められたのは、目標たるAではなく、矢。矢が目標に止められた。つまり、命中した。その命中したことが、Aが目標化され、「Aをいとめ」と言われるようになり、それが、動態が一般化した「し(為)」で言われ、「Aをしとめ」と言われ、これが、矢や刀などの効果を的確に、狙い通りAに及ぼしたこと、さらには、それによりAを殺したことを表現するようになった。
「今のてつぽう(鉄砲)たしかに后かごさんけい(呉三桂)にあたつたとおぼへしと、あたりを見廻し、こりや見よ后をしとめたは」(『国姓爺合戦』)。
「これをいくさ(戦)のしとめにして」といった表現もありますが、これは、為(す)ることを止(と)め、ということであり、それを最後の戦(いくさ)として、の意。
「教経(のりつね)は引き設けたる 弓なれば 矢坪をさして ひょうど放つ ………後ろに 控え給う 我が君の 御着背長の草摺りに はったと射とむ」(「謡」『摂待』:これは「~にいとめ」の参考資料)。