◎「したるし」(形)

「しとたるし」。「しと」はその項(ここでは水分を多く含んでいる印象であること)。「たるし」はその項(粘りつくような疎(うと)ましさがあるということ)。すなわち、「しとたるし→したるし」は、水分多くしめっている印象で「たるし」なわけですが、人の言動や性格に関しても言う。たとえば、仕事がてきばきと進まず、だらだらとゆっくりしたたり垂れるように仕事をする。

「しつのめも(賤の女も)おほちゐつつに(大路井筒)にゆふすすみ(夕涼み) したるきあさの(したるき麻の)ころもすすきて(衣濯ぎて)」(『夫木和歌集』:衣が何日も汗に濡れていたような状態になっている)。

「Xitarui(シタルイ).  Couʃacarregada(負荷を負っている).  ¶ Xitarui fito(シタルイヒト). Homê vagaroso, & pesado e fazer as cousas(ゆっくりと重げにものごとをする人)」(『日葡辞書』)。

 

◎「しぢ(榻)」

「シヂ(支持)」。つまり「支持」の音(オン)。牛車の長柄の軛(くびき)を乗せもたせかける(支持する・支え維持する)台をいう。形体は、現代で言えば、机というか、踏み台というか、そのようなもの。人の腰かけにも使ったらしい。

「榻 ……和名之知 床也」(『和名類聚鈔』:漢語の「榻(タフ・トウ)」は長椅子や寝台)。