◎「しじかみ(蹙み)」(動詞)

「しみしかみ(締み顰み)」。「しみ(締み)」は「しめ(締め)」の自動表現。「しかみ(顰み)」はその項(9月12日:下記に略)。「しみしかみ(締み顰み)→しじかみ」は、身が収縮したように締(しま)り無数の皺(しわ)が現れるような状態になること。

「御手(おほむて:書かれた字の様子)は、昔だにありしを(昔でさえそんなふうなのに(上手ではないのに))、いとわりなうしじかみ…」(『源氏物語』)。

「しじかまがり」という表現もある。これは「しじかみあがり(蹙み上がり)」。すっかり蹙(しじか)むこと。縮(ちぢ)みあがり、のような表現。

「しじかみ」(自動表現)、「しじかめ」(他動表現)、「しじかまり」(自動表現)という、変化による表現もある。

(参考再記) 「しかみ(顰み)」

「しきあやみ(敷文み)」。「しき(敷)」は敷物(しきもの)のこと。「あやみ(文み)」は「あや(文)」の動詞化であり、幾重もの筋になること。「しきあやみ(敷文み)→しかみ」は、敷物が皺(しわ)がより幾重もの筋になるような状態になること。顔が顰(しか)んだ状態になれば渋面になる。そうなることを表現する「しかめ(顰め)」という他動表現も現れる。

 

◎「しじけ(蹙け)」(動詞)

「しみしけ(締み無機能け)」。「しみ(締み)」は「しめ(締め)」の自動表現。収縮すること。「しけ(無機能け)」はその項(9月24日)。収縮し取るに足らないつまらないものになること。

「ヤガテツヾキテ大ナルト中ナルカニ(蟹)、木ニハヒノボリテ、ハサマントスルニ、蛇口ヨリ白キ水ヲハキカク。蟹是ニシヾケテ、ハヒオリテ力モナキテイナリ。小キ蟹フキノ葉ヲ、ハサミキリテ、ウチカヅキ木ニノボル。…」(『沙石集』)。