◎「しけこみ(しけ込み)」(動詞)
「しけ」は形容詞「しけし(蕪し)」の語幹「しけ」。粗末なひどさ、廃れた、といった印象を表現する。「こみ(込み)」は「おさまる」のような意味で言われている。堂々と誰に恥じるでもないのではなく、隠れるように、気づかれぬように、こそこそと、や、粗末な、廃(すた)れた印象で、どこかへ入りおさまった状態になること。
「『ヒヤア八兵衛、かへてうせたな(客を替えたな。また客をのせたな→もうかってやがるな)。畜生(ちくしやう)め、はやういて(はやく家へ帰って)嚊(かか)が番(ばん)をしされ、密夫(まをとこ)めがしけこんでけつかるは』」(『東海道中膝栗毛』:これは二川(ふたがは)における、雲助(くもすけ)とも呼ばれる、駕篭舁どうしの会話)。
◎「しけし(蕪し)」(形シク)
「葦原のしけしき小屋(をや)に…」(『古事記』歌謡20)。
「蕪…アレタリ…シケシ……ケカラハシ…」(『類聚名義抄』)。
「蕪……穢也…荒也逋也 志介志(しけし)…」(『新撰字鏡』:「逋」は『説文』に「亡也」、『正韻』に「欠也」とある)。